MEMORANDUM

  マンホールの蓋

◆ かつて「クイズダービー」という人気のクイズ番組があって(1976年1月3日 - 1992年12月19日)、司会は大橋巨泉(のち徳光和夫)。レギュラー解答者のひとりに漫画家のはらたいら(1943年3月8日 - 2006年11月10日)がいた。はらは驚異の正答率を誇り、「宇宙人」と呼ばれた。で、《Wikipedia》の「クイズダービー」の項に、こんなことが書いてあった。

◇ 「マンホールの蓋」が正解の問題のときに「マンホール」と書いたはらに対して、巨泉は「『マンホールの蓋』と『マンホール』は全くの別物です!」と指摘して不正解としていた。
ja.wikipedia.org/wiki/クイズダービー

◆ 「マンホールの蓋とマンホールは全くの別物です」と言う巨泉は細かすぎるだろうか?

◆ なにがきっかけか忘れたが、あちこちの町でマンホールの蓋の写真を撮るようになって、さいしょはそれに「マンホール」というキャプションをつけていたのだが、あるときから「マンホールの蓋」と書くようになった。どこかのサイトのマンホールの蓋の写真に、きちんと「マンホールの蓋」と書いてあったのを見て、とつぜん、ああ、あれは「マンホール」ではなくて、「マンホールの蓋」だったんだな、ということに気がついた。もちろん、「マンホールの蓋」の「の蓋」を省略して「マンホール」と呼んでいるひともいるだろうし、それはそれで間違いというにはあたらないだろう。けれど、ワタシの場合は違った。ワタシは、それまで「マンホールの蓋」を「マンホールそのもの」だと思っていたのである。そう思って疑いもしなかった。マンホールというのは地下に掘られた穴である、というあたりまえのことに気づいていなかった。「氷山の一角」ということばもあるが、「マンホールの蓋」もそのようなものであるということに気づいていなかった。マンホールの蓋の下にある地下世界のことなどいちども想像したことがなかったから、マンホールの蓋にすぎないものをマンホールそのものだと勘違いしていたのである。もちろん、日常われわれが目にするのはマンホールの蓋だけなので、その蓋をマンホールというものなのだと思っていてもなんの支障もないけれど、「マンホール」ではなくて「マンホールの蓋」と書くことで、すこしはマンホールそのものが透けてみえるような気もする。それ以降、マンホールの蓋を外して工事をしている現場があると、のぞいてみたりもするようになった。べつにのぞいてみても、おもしろいことはなにもないのだが。

◆ そもそも、考えてみると、穴というのは不思議なものだ。マンホールの蓋を外して写真を撮ったとして、写るのは「マンホールの壁」であったり「マンホールの床」であったりして、「マンホールそのもの」を写すことは可能かどうか。穴について考え始めるとキリがなさそうなので、とりあえず蓋をする。

◆ ああ、上の画像の説明を忘れていた。左:彦根市の白鳥。中:岐阜市の鵜。右:府中市の雲雀(ひばり)。たまたま、鳥づくし。

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